R1250RS ロングツーリングの魅力と真実:快適性能から不人気の理由まで徹底解説
R1250RSでロングツーリングに挑戦してみたいと考えている方へ。
BMW伝統のスポーツツアラーであるR1250RSは、その高い快適性と走行性能から長距離旅行のお供に最適な一台です。一方で、購入後に「思っていたのと違う…」と後悔しないためには、事前に知っておくべきポイントも存在します。
この記事では、R1250RSの魅力やメリットだけでなく、不人気と言われる理由や後悔しがちな点、そして対策まで網羅的に解説します。筆者自身がR1250RSで長距離ツーリングを体験したかのような視点でまとめましたので、これから購入・ツーリングを検討する方はぜひ参考にしてください。
R1250RS ロングツーリングの魅力と評判

- R1250RSは不人気?その理由を検証
- R1250RSでロングツーリングは快適か?
- R1250RS購入で後悔しないためのポイント
- BMWバイク中古が安い理由とR1250RS中古事情
R1250RSでロングツーリングは快適か?
BMW R1250RSはスポーツツアラーというカテゴリーに属し、その名の通りスポーツ性能とツーリング性能を高次元で両立したバイクです。
私自身、R1250RSで初めて長距離ツーリングに出たとき、その快適さと安定感に驚きました。水平対向2気筒1254ccエンジンは最高出力136PS、最大トルク143Nmと非常にパワフルで、高速道路の合流や追い越しでも余裕たっぷりの加速を見せます。また低重心のボクサーエンジンのおかげで直進安定性が高く、巡航中は路面に吸い付くような安心感があります。
長距離走行時にありがたい装備も充実しています。例えばクルーズコントロールを使えば高速巡航が格段に楽になり、速度を一定に保つことで燃費向上にも寄与します。実際、燃料タンク容量は18Lと大きめで、高速巡航時の燃費は約20〜23km/Lほど。一回の給油で300〜360km前後は走れる計算になり、給油の心配が少ないのはツーリングで大きな利点です。さらにハンドル周りにはグリップヒーター(寒い日のライディングで指先の冷えを軽減)や視認性の高い6.5インチTFTメーターなど、長時間走行をサポートする機能が備わっています。
ライディングポジションについては、R1250RSは適度に前傾姿勢になるセパレートハンドルを採用しています。前傾姿勢といってもスーパースポーツほどきつくはなく、私の場合(身長170cm)でも2〜3時間走行して大きな疲労を感じないレベルでした。むしろ高速巡航時には適度な前傾のおかげで走行風を受け流しやすく、体が風圧で起こされないため長距離でも楽に感じます。標準装備のスクリーン(カウル)が風を胸元でしっかり受け止め、ヘルメット周辺の風切り音も抑えてくれるので、高速道路を巡航していてもヘルメットが煽られるストレスは少なめです。
以下にR1250RSの主なスペックをまとめます。
| 項目 | スペック概要 |
|---|---|
| エンジン | 水冷水平対向2気筒 1254cc(シフトカム機構搭載) |
| 最高出力 / 最大トルク | 136PS / 143Nm(約14.6kgf・m) |
| 車両重量(装備重量) | 約243kg (燃料満タン時) |
| シート高 | 820mm |
| 燃料タンク容量 | 18L(リザーブ約4L) |
| 燃費(高速巡航時) | 約21km/L前後 ※航続距離目安:約350km |
| 主な装備 | クルーズコントロール、シフトアシストプロ(クイックシフター)、ダイナミックESA(電子サス) 等 |
スペックが示す通り、R1250RSはロングツーリングに必要な余裕ある動力性能と安定した車体を持ち、さらに電子制御デバイスによる快適装備が満載です。
高速道路からワインディングまで幅広いシーンで頼もしい走りを見せてくれるため、長距離ツーリングでもストレスを感じにくいバイクだと感じます。実際走ってみると「これぞBMWのツアラーモデルだ」と思える懐の深さで、往復500km以上の旅程でも走行中の疲労は少なく、降車後も「もっと走りたい」と思わせる魅力がありました。
R1250RSは不人気?その理由を検証

一方で、R1250RSについて調べると「不人気」というキーワードを目にすることがあります。販売台数があまり多くないことからそう囁かれるようですが、その理由を私なりに検証してみました。
まず大前提として、R1250RS自体の完成度や性能が低いわけでは決してありません。不人気と言われる最大の理由は市場動向と価格帯にあります。
近年のオートバイ市場では、アドベンチャーモデル(例: R1250GS)やネイキッドモデルに人気が集中しており、スポーツツアラーというジャンル全体の需要が相対的に少ない傾向があります。そのためラインナップ上優れたモデルでも、ターゲット層が狭く販売台数が伸びにくいのです。実際、R1250RSと同じエンジンを積む兄弟モデルのR1250GSやR1250RTは世界的なベストセラーですが、R1250RSは「知る人ぞ知る通好みの一台」といった位置づけになっています。
次に新車価格の高さもハードルとなっています。R1250RSの新車はグレードにもよりますが約200〜250万円とかなり高額で、同排気量クラスの国産ツアラーモデルと比べても割高です。高品質な部品や先進技術を投入しているBMWゆえ仕方ない面もありますが、価格面で敬遠され販売が伸びない→中古市場でも玉数が少ない→「売れていない=不人気」というイメージにつながっているようです。
また、一部のライダーからは「最高速が控えめ」という指摘もあります。R1250RSの実測最高速は約200km/h強とされていますが、リッターSSのように300km/h近く出るバイクを求める層には物足りなく映るかもしれません。ただ、この点はあくまで用途や価値観の違いによるものでしょう。R1250RSは速度よりも巡航時の安定感や快適性を重視したセッティングですし、公道で200km/h出す機会自体ほとんどありません。私自身ツーリングで高速道路を走っていて「もっとスピードが出ないと不満だ」と感じたことは一度もなく、むしろ法定速度+αの範囲でいかに楽に走れるかが重要だと思っています。
肝心の信頼性や性能面での不安については、特筆すべき欠点は感じません。BMWフラットツインエンジンの信頼性は高く、大きな故障報告も少ないです。強いて言えば電子制御が多い分、経年劣化でセンサー類に不具合が出る可能性や、バッテリー電圧低下時の誤作動リスクなどはありますが、定期メンテナンスを怠らなければ深刻なトラブルは避けられるでしょう。要するに「不人気」という評価はバイクそのものの質とは無関係な部分が大きいのです。実際に所有しているライダーからは「乗り味は快適でパワフル、さすがBMW」「全てが高次元でまとまった良いバイク」と高い評価を得ており、性能が原因で敬遠されているわけではないと断言できます。
R1250RS購入で後悔しないためのポイント

では、そんなR1250RSを選ぶ際に「後悔した…」と思わないためには何に注意すべきでしょうか。私自身が感じたポイントや、ネット上のオーナーの声を踏まえてまとめます。
まず、自分の用途・期待に合ったバイクか確認することが大切です。R1250RSは前述の通りスポーツとツーリングのバランス型です。もしあなたが「サーキット走行や加速競争が大好きで、とにかく最高速や加速力重視!」というのであれば、R1250RSでは物足りず後悔するかもしれません。その場合は同じBMWでもS1000RRのようなスーパースポーツや、よりハイエンドなモデルの方が満足度が高いでしょう。一方、「快適に長距離を走りたい、ワインディングも楽しみたい」という目的であれば、R1250RSはまさにピッタリの相棒となります。
次にライディングポジションや車重への理解です。R1250RSの車重は装備込みで243kg程度あり、パニアケースやトップケースを付け荷物満載にすると軽く250kg超になります。この重量ゆえ、高速直進安定性は素晴らしい反面、取り回しや低速でのUターンなどではずっしり重さを感じます。私も最初のうちは駐車場での方向転換に苦労しましたが、慣れとコツでカバーできました。足つきについてもシート高820mmとそこそこあるので、身長や脚つりに不安がある方はローシートの導入を検討すると良いでしょう。購入後に「重くて扱えない」「足つきが悪くて怖い」という後悔を避けるためにも、事前の試乗や足つきチェックは必須です。
維持費の面も重要です。BMWバイク全般に言えることですが、メンテナンスコストや消耗品代は国産車より高めです。オイル交換ひとつとっても正規ディーラーだと数万円になったり、タイヤやブレーキパッドも大型スポーツバイク相応の値段です。故障しやすいわけではありませんが、「乗りっぱなし」でノーメンテだと後々痛い出費を招きかねません。購入したらきちんとディーラー点検や必要な交換を行うつもりでいましょう。維持費も織り込み済みであれば、「思ったよりお金がかかる!」と後悔することも防げます。
ハンドル位置や乗車姿勢に関しても、予め把握しておきたいポイントです。R1250RSはやや前傾のスポーティな姿勢になるため、人によっては「ハンドルが遠い」と感じる可能性があります。特に普段アドベンチャーやアメリカンのようなアップライトなバイクに乗っている方だと最初は違和感があるでしょう。私の体験では、身長が中くらい(170〜175cm程度)なら腕を自然に伸ばした位置にハンドルがありポジションはすぐ慣れました。しかし背が低めの方や腕の短い方だと前傾がきつく感じるかもしれません。その場合はハンドルライザー(スペーサー)を入れてハンドルを手前に数cm移動させるだけでも随分改善します。実際、知人は2cmアップ・後方にオフセットするライザーを装着して「格段に楽になった!」と言っていました。最悪ハンドル自体をR1250R用のアップハンドルに交換する荒技もありますが、そこまでしなくともライザーで十分調整可能でしょう。自分に合ったポジション調整をすれば、長時間乗車でも腰や手首の痛みに悩まされるリスクはぐっと減ります。
総じて、R1250RSを選ぶ際は「自分の志向とバイクのキャラクターが合致しているか」「扱いきれるサイズか」「維持費も含め許容できるか」を確認することがポイントです。これらさえクリアしていれば、購入して後悔するどころか、むしろ乗るたびに満足感が高まる一台になるはずです。私自身、最初こそ取り回しの重さに戸惑いましたが、ツーリングから帰る頃には「この安定感と快適さは他では味わえないな」と感じており、後悔どころか選んで正解だったと思っています。
BMWバイク中古が安い理由とR1250RS中古事情
R1250RSに興味を持つ方の中には、新車だけでなく中古車も検討している方がいるでしょう。実は「BMWバイクの中古はなぜ安いのか?」という話題は昔からあり、私自身も購入時に驚いたのですが、同クラスの国産車に比べて中古市場での価格が割安に感じられることが多いです。その理由と、R1250RSの中古事情について解説します。
BMWバイクの中古が安めな理由の一つは、前述した新車価格の高さによるリセールバリュー低下です。例えばR1250RSも新車価格は200万円超ですが、市場では数年落ちで一気に値が下がる傾向にあります。これは日本のバイク市場が国産志向であることが背景にあります。新車のときは高性能・高級感で注目されても、中古になると「維持費が高そう」「専門知識が必要かも」というイメージから敬遠する人が多く、需要が限られるのです。需要が少ないと買取価格も下がり、その結果中古販売価格も安く設定せざるを得ません。
もう一つは維持費や修理費への不安です。BMWと聞くだけで「壊れたら高く付きそう」「パーツが高価」という先入観を持つ人も少なくありません(実際先述のように維持費はそれなりにかかります)。そのため「買ったはいいが後で困るかも」と中古購入を避ける人もいて、市場価格が下がりやすい要因になっています。さらにディーラー整備前提の作りであることから、「個人売買で安く手に入れても整備に出すのが大変では?」と思われがちな点も、中古BMWの相場が手頃になる一因でしょう。
このような理由から、R1250RSを含むBMW中古車は新車時との価格ギャップが大きい傾向があります。私が調べた範囲でも、初年度登録から2〜3年落ち走行1万km台のR1250RSが新車価格の半額近い値段で出ている例もありました。これは買う側からすると魅力的です。比較的安価にBMWの高性能マシンを手に入れられるチャンスとも言えます。実際、私も当初新車と中古で悩みましたが、信頼できるディーラー認定中古車で状態の良いRSが見つかったため、新車価格から大幅に節約して購入できました。
もっとも、中古で安く買えるからといって飛びつくのは禁物です。特にR1250RSのような電子制御満載のバイクは、前オーナーが適切にメンテナンスしていたかでコンディションが大きく変わります。安価な個人売買で車両を入手したものの不具合が隠れていて、結果的に直すのに高くついた…というケースもゼロではありません。ですから中古を選ぶ際は可能であれば認定中古車や実績あるショップから購入し、保証を付けてもらうのがおすすめです。それでも新車より割安に買えるメリットは大きいので、「新品同様でなくても構わない、コストを抑えてR1250RSに乗りたい」という方には中古車は有力な選択肢になるでしょう。
私の周囲でも、R1250RSに中古で乗り始めた仲間がいますが、購入時にディーラーで徹底チェック&消耗品交換してもらったこともあり、トラブルなく快調に走っています。中古だから壊れやすいということはなく、要は扱い方と整備次第です。安く手に入れ浮いたお金をカスタムやギア(装備)に回すのも賢い楽しみ方かもしれません。いずれにせよ、新車価格の高さゆえに「不人気」「中古が安い」と言われるR1250RSですが、それは裏を返せば中古でお得に手に入れられる穴場の名車とも言えるでしょう。
R1250RS ロングツーリングを快適に楽しむポイント
- シフトアシストプロ(クイックシフター)で疲労軽減
- ライディングポジションとハンドル距離の調整
- 電子制御サスペンション(ESA)の設定と荷重対応
- R1250RS ロングツーリングの総括
シフトアシストプロ(クイックシフター)で疲労軽減

R1250RSにはシフトアシストプロと呼ばれるクイックシフター機能が搭載されています。これはクラッチ操作なしでギアのアップ・ダウンが可能になるもので、長距離ツーリングでは地味ながら非常にありがたい装備です。私も最初は「クラッチを使わずに本当にスムーズに変速できるのか?」と半信半疑でしたが、実際に使ってみるとアクセルを開けたままでもシフトアップがスコンと入る感覚がクセになります。
ツーリング中は市街地や峠道、渋滞路など状況がコロコロ変わり、その度にシフトチェンジの頻度も増えます。クイックシフターがあると左手でクラッチを握る回数が激減し、手の疲労が明らかに少なくなりました。特にワインディングを楽しむ際、コーナー進入で減速→シフトダウン、立ち上がりでシフトアップ…という操作を繰り返しますが、その一連の動作が滑らかかつスピーディに行えるためリズム良く走れます。長時間走行ではこうした小さなストレスの積み重ねが疲労度に効いてくるので、クイックシフターの恩恵は大きいと感じます。
実際に使いこなすコツとしては、シフトアップ時はアクセルをしっかり開けた状態で、シフトダウン時はしっかり閉じた状態で操作すること。こうすると変速ショックが最小限になり、とてもスムーズです(最初それを知らずにギクシャクした変速になったのですが、ディーラーに教わり改善しました)。1速から2速へのクイックシフト時だけやや衝撃がありますが、それも慣れれば気になりません。
総合的に見て、シフトアシストプロはツーリングの疲労軽減装備として有用です。高速道路の出入口や山岳路で頻繁に変速しても疲れにくく、またクラッチ操作が少ない分左手に余裕が生まれるので、長距離走行後半でもシフトミスが減ると感じました。一度この快適さに慣れると、「もうクイックシフター無しのバイクには戻れないかも」と思うほどです。それくらいツーリングとの相性は抜群なので、R1250RSに乗ったらぜひ積極的に活用してみてください。
ライディングポジションとハンドル距離の調整

前述のように、R1250RSは適度な前傾姿勢のスポーツツアラーです。このライディングポジションについては、人によって感じ方が分かれる部分でもあります。ネット上でも「R1250RSはハンドルが遠い」という声を見かけますが、実際のところ私の体感では身長や体格によって印象が変わるというのが正直なところです。
私自身(170cm)も、乗り始めは「もう少しハンドルが手前に来てくれたら楽かも」と思いました。ところが2時間ほど走って体が慣れてくると、前傾姿勢にも違和感がなくなり、むしろ高速巡航時はこれくらい前傾していた方が風圧を効率よく受け流せて安定すると感じました。身長175〜180cmくらいの友人は「全くハンドル遠いと感じない、ちょうどいいポジション」と言っています。一方で身長160cm台前半のライダーさんは「さすがに少しかがみ込む感じになる」と話していました。
要するに、ライダーの体格に合わせて調整すれば問題ないということです。幸いR1250RSは市販のハンドルライザー(アップスペーサー)が多数出ており、ボルトオンで簡単にハンドル位置を数cm手前&上方に移動できます。実例として、私の知人(身長165cm)は社外ライザーでハンドルを約2cmアップ・20mm手前にオフセットしたところ、「腰が起きてすごく楽になった」と言っています。またBMW純正アクセサリーや他社製でローシートも用意されているので、シート高を下げて相対的にハンドルとの距離を縮める方法もあります。
逆に言えば、標準状態のポジションは高速走行やスポーツ走行にベストなセッティングとも言えます。実際、あまりアップライトにしすぎると風の影響を受けやすくなり、高速域では不安定さにつながります。R1250RSの純正ポジションは、スポーツバイクほど前傾がきつくなく、それでいてツアラーより前のめり…という絶妙なバランスです。私も最初はアップハンドル化を検討しましたが、慣れてみるとこの程良い前傾が気に入って、結局ノーマルのまま乗っています。長距離ツーリング中も適宜休憩を挟めば腰痛や手首痛に悩まされることはありませんでした。
もし乗ってみて「どうしてもキツい」と感じたら、遠慮なくポジション改善策を講じましょう。ハンドルライザーの導入、シートの変更、場合によってはステップ位置を下げるパーツ(ローダウンフットレスト)などもあります。幸いR1250RSはこうした快適装備のカスタムパーツが豊富なので、自分の体型や好みに合わせてポジション調整することで、ロングツーリング時の疲労を大幅に軽減できます。快適な姿勢が保てれば、ツーリング自体の充実度も格段に上がるでしょう。
電子制御サスペンション(ESA)の設定と荷重対応

R1250RSには最新の電子制御サスペンションESA(ダイナミックESA)が装備されています。ツーリングを快適にする上で、このESAの存在も欠かせません。ESAは走行モードや状況に応じて減衰力を自動調整してくれる仕組みで、路面からの突き上げを和らげつつ車体の安定を保つ優れものです。私が初めてR1250RSに乗ったとき、街中のマンホールや段差を通過しても「ゴツン」とした不快な衝撃が少なく、常にタイヤが路面に吸い付くような感覚がありました。これはESAがミリ秒単位でサスを最適化しているおかげで、長時間走行でも乗り心地が良く疲れにくい一因です。
ツーリング時には、このESAのモード設定を上手に活用することで快適性をさらに高められます。R1250RSでは通常「ROADモード」で走っていればOKですが、ROADモードは減衰がややソフト寄りで、まるで高級セダンに乗っているようなフワっとした乗り心地になります。高速巡航や長距離移動ではこの柔らかめ設定が路面振動を吸収してくれるため疲労軽減に有効です。一方、ワインディングをアグレッシブに走る際や荷物満載で車体が重いときなどは、モードを「DYNAMIC」に切り替えるとサスペンションが引き締まり、コーナリングでの踏ん張りが増します。ツーリングのシチュエーションに応じてモードを切り替えるだけでサスセッティングを変えられるのは電子制御ならではの強みです。
さらに、R1250RSのESAはリアサスペンションのプリロード(車高)調整も電動で行えます。メニューから「乗車モード(荷重)」をSOLO / SOLO+LUGGAGE / 2-UPと選ぶことで、自動的に適切な車高にセットしてくれます(年式によっては「MIN・MAX・AUTO」の表示)。例えば荷物をたくさん積んだときや二人乗りのときは、プリロードを増やして車高を上げないと沈み込みすぎてしまいますが、ESA搭載車ならボタン操作ひとつで最適化されます。私もツーリング先でお土産を大量に買ってリアシートに括り付けた際、停車中にプリロードを「MAX(2-UP相当)」に設定してみました。するとシート高がスーッと上がり、沈み込んでいた車体が適正姿勢に戻ったのが体感できました。身長170cmちょっとの私で、MAX設定時でも両足つま先が地面に着くぐらいの高さです。荷物が多いときや高速走行時にはこの高めの姿勢の方が安定感が増して乗りやすいと感じました。一方で、市街地で信号待ちが多い場面では、足つきが良くなる「MIN(1人乗り)」設定にしておくと安心です。基本は「AUTO」にしておけば状況に応じて賢く調整してくれますが、あえて手動で変えてみると違いが分かって面白い機能です。
このように、電子制御サスペンションESAを活用すれば、ライダーや荷物の重さ、走行状況に合わせて最適な乗り心地とハンドリングを得られます。長距離ツーリングでは朝から夕方まで路面状況も千差万別ですから、ワンタッチでサスを調整できるのは大助かりです。加えて、R1250RSはシャフトドライブ方式のリアサス(パラレバー機構)を採用しているため、加減速時の車体の姿勢変化が少なく、これも安定感に寄与しています。荷物を積んでもフラつきにくく、高速道路で追い越し加速してもリアが沈み込みすぎない感覚は、ツアラーバイクとして大きなアドバンテージでしょう。
まとめると、快適なロングツーリングのためにはESAのモードとプリロードを上手に使い分けることがポイントです。柔らかすぎず硬すぎず、自分好みのセッティングがボタン操作で実現できるので、ぜひ積極的に試してみてください。電子制御とはいえ難しい操作はなく、メニューから選ぶだけなので、機械が苦手な方でもすぐ慣れると思います。R1250RSの足回り性能を最大限引き出して、どんな道でも安定かつ快適に走破できるのはこのバイクの醍醐味です。
R1250RS ロングツーリングの総括
- R1250RSはスポーツバイクの俊敏さとツアラーバイクの快適性を兼ね備え、長距離でも楽しく走れる一台です。
- 1254ccのボクサーエンジンはトルクフルで、高速巡航からワインディング走行まで余裕のパワーを発揮します。
- 車重は約243kgと重めですが、その分高速域での直進安定性が高く、長時間乗っても疲れにくい安定感があります。
- フルカウル&適度な前傾姿勢により高速走行時の風圧が軽減され、巡航中もヘルメットや身体が風に煽られにくいです。
- クルーズコントロールやグリップヒーター、6.5インチTFTメーターなど長距離ツーリングを支える装備が標準で充実しています。
- シフトアシストプロ(クイックシフター)のおかげでクラッチ操作の頻度が減り、渋滞や山道でも左手の疲労が大幅に軽減されます。
- ダイナミックESA(電子制御サスペンション)が路面状況に合わせて減衰力を自動調整し、常に最適な乗り心地と安定性を提供してくれます。
- ライダーや積載量に応じてESAのプリロードを調整できるため、二人乗りや荷物満載時でも車体姿勢を適正に保てます。
- 前傾寄りのライディングポジションは高速走行に有利ですが、人によって遠く感じるハンドル位置はライザー装着などで調整可能です。
- 新車価格が高いぶん中古市場では割安に出回ることがあり、予算を抑えて高性能なR1250RSを入手するチャンスもあります。
- 「不人気」と言われるのは市場のニーズや価格の問題で、バイク自体の完成度や信頼性には優れたものがあります。
- 購入前に自分の用途に合っているか、足つきや重さに無理がないかを確認すれば、R1250RSは期待を裏切らない相棒になってくれるでしょう。
- 私自身、R1250RSでのロングツーリングを経験して、その万能さと快適さに大満足しています。長距離を走り切った後でも「まだ走り続けたい」と思える魅力が、このバイクには詰まっています。

